【埼玉愛犬家連続殺人事件】事件の概要
『埼玉愛犬家連続殺人事件』は、1993年に埼玉県熊谷市周辺で起こった連続殺人事件です。
この事件では、発覚しているだけでも4人の被害者がいます。犯行は、ペットショップを経営していた夫婦の他、共犯者もいました。
非常に残忍で衝撃だった埼玉愛犬家連続殺人事件。この事件の詳細を見ていきましょう。
【埼玉愛犬家連続殺人事件】犯人は関根元と風間博子
この事件の犯人は、ペットショップ『アフリカケンネル』を経営していた夫婦です。
夫である関根元、そして妻である風間博子、そして共犯者であった店員の山崎永幸の3人がこの事件の犯人にあたります。
当初は通常のペットショップ経営をしていた関根元と風間博子でしたが、店が経営難に陥ることで、殺人を犯しての犯行を計画します。
【埼玉愛犬家連続殺人事件】被害者は4人
では、関根元と風間博子の手によって殺された被害者を見ていきましょう。
1:会社役員男性を毒殺
最初の被害者は、夫婦とトラブルのあった会社役員の男性です。
この男性は、犬を繁殖させるために1100万円で関根元・風間博子夫妻から犬を購入しています。しかし、犬を購入後にこの犬は高齢であり、子供ができにくい状態だったことが発覚。
男性は夫妻に返金を求めますが、夫妻には返すお金がありませんでした。そのため、この男性を殺すことにします。
二人は、犬を毒殺する時に用いる『硝酸ストリキニーネ』を使用。男性を殺害後は、店の従業員だった山崎を呼び出し、遺体を前に協力するように脅しています。そして、これにより山崎も共犯者となったのでした。
2:暴力団員を毒殺
2人目の被害者は、関根元と関係のあった暴力団員でした。
この暴力団員は、アフリカケンネルで客とトラブルになった際に、仲裁役をされていたそうです。しかし、第1の殺人事件を感づいてしまったこの暴力団員は、その後関根元に金銭の要求をするようになります。
これに対して全財産をもぎ取られてしまうと考えた関根元と風間博子は、この暴力団員に栄養剤と偽って毒を盛り、殺害。
3:暴力団員の運転手を毒殺
2人目の被害者である暴力団員の車を運転していた運転手も、暴力団員と共に毒殺されています。そして、店員であった山崎を脅し、2人の遺体を処分しています。
4:従業員の母を毒殺
アフリカケンネルで働いていた他の男性の母親も被害者となっています。息子が同店で働いていた主婦は、関根元と親密な関係になっていたそうです。そして、関根に株主になってほしいと頼まれた主婦は快く株主になり、出資をします。
しかし、株主の話は真っ赤な嘘。この嘘がバレて出資金の返還を求められないうちに、主婦を毒殺してしまいます。また、関根はこの主婦との関係も煩わしく思っていたようです。
【埼玉愛犬家連続殺人事件】遺体なき殺人
この事件の恐ろしいところは、殺害をした遺体を完全に”透明にする”方法をとっていたこと。
実は、関根元たちが逮捕をされる前から、警察は夫婦らの犯行だとかなり疑っていたようです。しかし、問題となったのはその証拠。夫婦は、遺体の処理を完璧に行っており、その遺体がなくなっていたからなのです。
関根元と風間博子は、「ボディを透明にする」という言い方で遺体を処分しています。被害者の遺体はすべて山崎の家で解体をされ、骨、皮、肉、内臓に分けられ、肉などは数センチ四方に切り刻まれていました。そして、骨は遺品などと共にドラム缶に入れられて灰になるまで焼却。
燃え残りが出ないよう、1本1本丁寧に焼いていたようです。そのため、警察もなかなか夫妻を逮捕できなかったのです。しかし、共犯者・山崎の供述により、被害者の遺品の一部などを発見することができました。
【埼玉愛犬家連続殺人事件】関根元の生い立ち
この事件の主犯格の1人である、関根元。
関根は、埼玉県秩父市出身。子供の頃から嘘つきとして知られており、「ほら吹き」とも呼ばれていたようです。
そんな関根は、中学校卒業後はラーメン店に就職。そして、19歳の時に交際中の女性と結婚し、1男2女をもうけたそうです。しかし、そんな幸せは続きませんでした。
関根は女癖が悪く、浮気を繰り返していたようです。そして、最初の妻とは離婚し、看護師の女性と再婚。しかしながら関根の浮気は治らず、一時は実の娘の友人(当時16歳)とも浮気をしていたそうです。
そのため、結婚と離婚を繰り返していた関根。その後は、アフリカケンネルを開業します。関根はブリーダーとしての能力は非常に優秀であり、なんと日本にシベリアンハスキーを流行らせたのは関根元だったそうです。
ブリーダーとしては優秀だった関根でしたが、営業の方はかなり詐欺まがいなことを行っていました。客の購入した犬を盗んで他の客に売りつけたり、客の犬を殺して新しい犬を購入させたりと、悪質まがいな経営をしていたのです。
また、暴力団との金銭トラブルが発生していたため、店の経営が悪化。これにより殺人に手を染めるようになってしまいます。
【埼玉愛犬家連続殺人事件】風間博子の生い立ち
一方、この事件のもう1人の主犯格であった風間博子。関根元の妻です。
姓名が違うのは、二人が事件発覚前に偽装離婚をしているからです。これは税金対策の一環であり、夫婦としては離婚前と変わらない生活をしていました。
風間は資産家の娘であり、お嬢様でした。若い頃は保育士をしていたり、父親の仕事を手伝っていたようです。普通に過ごしていれば、犯罪とは程遠い女性だったに違いありません。若い頃に最初の結婚をしており、息子を1人もうけていましたが離婚。
そんな風間博子は、客としてアフリカケンネルに来店。それがキッカケとなり、関根元と結婚をしています。連れ子であった息子にも最初は優しかった関根ですが、次第に息子に暴力を振るうようになったそうです。
ちなみに関根と風間の間には、実子の娘が1人いました。夫婦が逮捕時には、小学校3年生でした。
【埼玉愛犬家連続殺人事件】裁判は?
遺体を粉々に処分という残虐な行為を繰り返していた犯人。裁判ではどのような判決が下されたのでしょうか?
夫婦に下されたのは死刑判決
関根元と風間博子に下された判決は、『死刑判決』でした。4人もの人間を殺害し、その後の遺体の取り扱い方、動機からしても死刑判決は当然とも言えるでしょう。この死刑判決は、2009年に確定しています。
実は、この夫婦の周りでは、他にも3人ほどの人間が行方不明になっていました。しかし、この3人の人間が殺害されたかどうかは立証されていません。というのも、この事件で4人の殺人が立証されたのも、すべて共犯者である山崎の証言からだったのです。そして、他の殺人の疑いについては、山崎が見ていなかったため、立証されませんでした。
関根は元々ほら吹きで知られていましたが、「殺害した数は数十人」とも言っていたようです。ただし、嘘つきで有名でしたので、これも真実かどうかはわかりません。
共犯者の山崎は懲役3年
夫妻に脅されて共犯者となった山崎は、3年の実刑判決が下されました。山崎は脅されて共犯となったこと、そして殺害には関与せず、遺体処理にだけ関わったことが考慮されました。
【埼玉愛犬家連続殺人事件】現在は?
この事件発生から時が経った現在、主犯格だった夫婦はどうなったのでしょうか?
関根と風間の2人は、夫婦揃って2009年に死刑判決を受けています。しかし、死刑はいまだに執行されていません。
そんな中、関根元は2017年3月27日に東京拘置所にて病死をしています。2016年11月頃から体調不良となり、拘置所で治療を続けていたそうです。死因は明らかにされていません。
一方、妻の風間博子は、現在も東京拘置所に収容されています。死刑が確定していますが、無罪を主張し、再審請求をしているそうです。死刑執行はまだされていません。(2019年7月現在)
【埼玉愛犬家連続殺人事件】映画『冷たい熱帯魚』
2010年に園子温監督によって製作された映画『冷たい熱帯魚』
実は『冷たい熱帯魚』映画の元ネタは、この埼玉愛犬家連続殺人事件の犯人である夫婦です。
『冷たい熱帯魚』の主演は吹越満。舞台は、ペットショップではなく、熱帯魚店となっています。『冷たい熱帯魚』の内容と実際の事件とは異なっている点もありますが、一方で非常にグロいシーンもあります。そのため、『冷たい熱帯魚』はR-18指定の映画となっています。
この『冷たい熱帯魚』は数々の日本映画賞を受賞もしていますので、気になる方は一度鑑賞してみてはいかがでしょうか?
【埼玉愛犬家連続殺人事件】まとめ
1993年に発覚した『埼玉愛犬家連続殺人事件』についてご紹介しました。
非常に残虐で一方的な殺人を繰り返した夫婦2人。夫の関根元は既に病死をしてしまいましたが、妻の風間博子は健在です。犯人には犯した罪を償ってもらい、2度とこのような事件が起こらないことを祈っています。