未解決事件「東電OL殺人事件」の概要
※写真はイメージです
東電OL殺人事件とは、1997年3月9日に東京電力に勤める女性(当時39歳)が東京都渋谷区円山町にあるアパートの1室で遺体として発見された事件です。事件発生当時、被害者女性が一流企業で働きながらも夜は売春を行っていたという情報が発覚し、マスコミ報道が加熱。ニュースで、この事件を見かけた人も多いのではないでしょうか。
報道が加熱しているなか、警察は現場の証拠から近くのビルに不法滞在していた外国人を逮捕し、事件は解決したかに思われました。しかし、のちに冤罪であったことが分かります。その後は有力な犯人候補が現れず、現在も未解決のままとなっています。
東電OL殺人事件の被害者女性はどのような人物だったのか
東電OL殺人事件の被害者女性は慶應義塾大学経済学部出身で、それは優秀な成績で卒業したといいます。卒業後は東京電力で初の女性総合職として入社。誰もが羨むエリート街道を走っていたものの、なぜか夜は売春を行っていました。
また、職場のストレスからか、彼女は拒食症になっていたといわれています。円山町付近にあるコンビニ店員によると、低カロリー食材に大量の汁を注いだ“おでん”を頻繁に購入していたとの証言があります。また、売春の客であった男性によれば、被害者女性はガリガリで骨と皮だけしかなかったと証言しています。
東電OL殺人事件の被害者女性は渋谷で売春していた
上記項目でも述べた通り、被害者女性は昼間は大企業で働きながら、夜は売春を行っていました。売春を行っていたのは渋谷のラブホテル街「円山町」。円山町へ出向く前に、彼女は渋谷にある109のホテルで売春用の身なりに着替えていたようです。そして、彼女は毎日4人のノルマを自分に課して、必ず終電で自宅に帰っていたといいます。
彼女は金に困って売春していたわけでなく、あくまで趣味としてやっていた可能性が高いです。というのも、5000円や2000円などの格安で客を取っていたからです。格安とはいえ毎日のように売春をしていたため、儲けはなんと約1億円もあったといいます。
東電OL殺人事件の被害者女性はアスペルガー症候群だった?
東電OL殺人事件の被害者女性は、アスペルガー症候群だったのではないかと匿名掲示板にて囁かれています。というのも、被害者女性と一緒に働いたことがあるという元バイトの証言によると「社内の人間関係が上手くいっていなかった」というのです。
アスペルガー症候群の方は、人間関係を築くことや対人関係を苦手とする節があります。もちろん、これだけでアスペルガー症候群だと断定することはできません。しかし、高収入でありながら自分にノルマを課せてまで売春を続けていた理由が、アスペルガー症候群の症状の1つである「興味の偏り」や「こだわりの強さ」に該当していたなら…。なぜ彼女が売春をしていたのか納得できます。
ただ、彼女が売春をしていた理由には諸説あり、職場でのストレスが影響している、依存症だったのでないかなどの説が上がっています。あくまで諸説であり、被害者女性が亡くなってしまった今、なぜ彼女が売春を行っていたのかは知る由もありません。
東電OL殺人事件当日の被害者女性の動き
まず事件が起こったのは3月8日だとされていますが、事件が発覚したのは3月9日未明。渋谷区円山町にあるアパートの一室で被害者女性の遺体が発見されました。死因は絞殺。第一発見者及び通報者は、アパートのオーナーが営むネパール料理店の店長でした。
では、事件が発生する前の被害者女性の動きを見てきましょう。(佐野眞一氏出版「東電OL殺人事件」参照)
事件発覚前の3月8日、時刻は午後5時30分。この日は会社が休みであったため、被害者女性は五反田にあるホテトル(派遣型風俗)に出勤します。しかし、客が1人もつかず、被害者女性はホテトルを後に。そのまま被害者女性は、いつも売春を行っていた渋谷の円山町へと移動します。
被害者女性が渋谷へ到着したのは午後6時40分頃。ハチ公前で初老の男性と待ち合わせをし、109方面にあるラブホテルに向かって歩き出します。ラブホテルまでの道中でセブンイレブンに寄り道をし、つゆだくのおでんを購入。その後、「クリスタル」というラブホテルへ2人で入っていきます。
午後10時16分、初老男性と被害者女性はホテルを後に。被害者女性は道玄坂上の交番前まで初老男性を見送り、そのまま神泉駅へ向かいます。しかし、10分後に被害者女性はなぜか道玄坂上へと戻っていきます。
午後10時30分、被害者女性は通りすがりの男性に次々と声をかけます。そして、黒いジャンパーを来た男性と共に円山町へ。45分後、事件現場となるアパート前で男性と一緒にいるところ目撃されたのを最後に、被害者女性は帰らぬ人となってしまいます。
東電OL殺人事件の犯人として逮捕されたゴビンダさんについて
東電OL殺人事件が発生してから約2ヶ月後、犯人としてネパール人ゴビンダ・プラサド・マイナリさん(当時30歳)が逮捕されます。彼はネパールから出稼ぎに来ており、海浜幕張にあるインド料理屋「幕張マハラジャ」で働いていました。
事件当日も彼は仕事をしていたといいますが、被害者女性の遺体があった部屋でゴビンダさんのものと思われる精液付きコンドームが発見され、逮捕されたのです。また、彼は事件現場の隣にあるビルに住んでいました。
しかし、彼が働いていた店のタイムカードを見ると退勤が午後10時。どれだけ早く支度して電車に乗ったとしても、最後に被害女性と男性が目撃されたアパートまでは2時間ほどかかります。つまり、午後11時45分ごろに目撃された犯人とされる男はゴビンダさんではないということ。これらの事実から、一度逮捕されたものの2012年に無罪が確定しています。
東電OL殺人事件の現場は今どうなっているのか
東電OL殺人事件の現場となったアパートは今も残っています。アパートは「喜寿荘」といい、神泉駅から徒歩1分、渋谷駅から徒歩11分の場所にあります。かなり古くすたれていますが、未解決事件の現場ということでマニアたちが多く訪れているようです。
現在事件のあった101号室に人が住んでいるのかは不明ですが、民泊を行っているとの情報をSNSで発見しました。しかし、本当かどうかはわかりません。なお、喜寿荘にある「まん福亭」という料理店は今も営業中ということです。
東電OL殺人事件の真犯人が圧力をかけている?
東電OL殺人事件の真犯人はいまだ見つかっていませんが、巷では東電幹部が真犯人で内部の圧力によって殺害されたのではないかと噂されています。というのも、被害者女性は親子2代揃って「反原発」を唱えていたそうです。
そのため、被害者女性は原発の危険性をレポートにまとめ、内部告発を考えていたのだとか。それを知った原発推進派の東電幹部が圧力をかけて殺害したというのです。とはいえ、東電幹部が真犯人で圧力によって被害女性を殺害したとは考えづらいです。
というのも、たった1人の女性社員のために殺害というリスキーな方法を実行するでしょうか?もし内部からの圧力があったとしても、被害者女性をクビにする、金で口止めするなどの手段もあったはずです。
また、仮に東電幹部がプロの殺し屋に殺害を頼んでいたとしたら何かしら証拠が残るはずです。それを優秀な警察が見逃すでしょうか?ゆえに、東電幹部が真犯人であることや内部からの圧力で殺害されたとは考えにくいのです。しかし、事件から数十年立ち、被害者も亡くなっていることから真犯人を見つけ出すのは困難を極めるでしょう。
東電OL殺人事件をモチーフにした映画「恋の罪」
東電OL殺人事件を原案にした映画「恋の罪」が、2011年に公開されました。園子温さんが監督で、主演は水野美紀さん。水野美紀さんがヘアヌードを見せるなどして体当たり演技を見せたことで、興行収入1億円を突破する大ヒット作品になりました。過激な内容ゆえ、R-18指定になっています。
まとめ
東電OL殺人事件は被害者女性が一流企業に勤めながら夜は売春をやっていた、犯人が外国人であった(のちに冤罪だと判明)などの情報から、センセーショナルな事件として当時はマスコミ各社が騒ぎ立てていました。しかし、今現在も真犯人が見つからず、未解決なまま。これでは遺族も浮かばれないでしょう。一刻も早い解決が望まれます。
そして最後になりましたが、被害者女性のご冥福を心からお祈りいたします。