メディアでも取り上げられた謎多き事件の島根女子大生死体遺棄事件は2009年に事件が発覚した猟奇的殺人と言われている事件です。死体をバラバラにした殺人事件ということでその残酷極まりない事件で多きな話題になりました。

そんな謎多き事件は未解決事件として犯人逮捕まで長い年月がかかりましたが、2016年に矢野富栄が犯人として逮捕されています。一度未解決となったのにも関わらずなぜ、2016年に犯人像が浮上したのか？今回は島根女子大生死体遺棄事件の概要と犯人の矢野富英の生い立ちや現在、謎が多いと言われている理由などについて紹介します。

2009年11月6日に広島県と島根県の県境にある北広島町の臥竜山の山頂で女性の頭部が発見されたことで事件が発覚しました。遺体は行方不明になっていた当時19歳の平岡都さんで、死後1週間から2週間が経過していたそうです。

被害者女性の体は頭部、両足、胴体とバラバラに切断されて発見され、猟奇的な殺人事件として警察の捜査が始まりました。島根女性大生死体遺棄事件が発覚した直後に後に逮捕された矢野富栄の車が発見されましたが、警察は関連性が低いと判断し捜査の対象から外してしまったそうです。その後、2016年に矢野富栄が逮捕されるまでに捜査が難航しました。

被害者の平岡都さんは島根県立大学に進学しており、学業やアルバイトとまじめな大学生でした。そんな平岡都さんは10月16日にアルバイト先から自宅までの帰宅途中で姿を消しており、行方不明になってしまいました。

臥竜山で頭部の遺体が発見されたのですが、きのこ狩りに訪れていた男性によって発見されました。行方不明になった現場から臥竜山までは約30㎞という距離でした。

頭部が発見されたことで次々と体の一部が発見され、動物の排泄物からも爪が発見されたりと想像以上にバラバラにされた状態で発見されました。

事件発覚から3年後の2012年10月に新情報が伝えられました。被害者の平岡都さんのバイト先のショッピングセンター付近に不審な車が止まっており、旧式のトヨタマークⅡということがわかりました。しかし、この情報だけでは犯人は特定されることはありませんでした。

2012年10月26日には死体遺棄罪の時効を迎えるということもあり、時効のない殺人事件に切り替えて捜査を継続することが発表され、情報提供のチラシなどを配布しましたが、犯人はなかなか特定はされませんでした。

事件から7年経ったある時、過去に犯罪歴のある人間を対象に捜査をしたところ益田市に住んでいた矢野富英という人物が容疑者として浮上しました。しかし、矢野富英は既に死亡していました。

容疑者となった矢野富英は島根女子大生死体遺棄事件で頭部が発見された二日後に山口県の中国自動車道下り線で交通事故を起こし死亡していました。車から炎も出ており、自殺ではないかと言われています。

また、事故の際には母親も同情しており矢野富英の母親も死亡していました。事故当日は矢野富英は「墓参りに行く」と話していたそうです。父親が亡くなっていたので母親と墓参りに訪れ、その帰りに事故を起こして死亡しました。

矢野富栄と平岡都さんには全く接点がありませんでした。犯人と特定された矢野富栄の遺品のカメラやUSBメモリーを調べた結果、平岡都さんの自宅の壁や浴室を背景に平岡都さんが撮影されている写真のデータが見つかりました。

全く接点がない矢野富栄が平岡都さんの写真を持っていたということが動かぬ証拠となりました。警察は犯人特定したものの2017年1月31日に被疑者死亡で不起訴処分となり事件は終結しました。

面識のない平岡都さんをバラバラに殺害した矢野富栄とはどんな人物なのか？矢野富栄は山口県下関市で生まれ、中学時代は陸上部に所属しており、スポーツ万能で優秀な学生だったそうです。

高校は北九州の進学校に進学し、大沢は防衛大学に受験し合格もしています。しかし、高校の推薦で九州の工業大学に進学したそうです。大学進学してからはナンパをしたり、バンドをしたりと遊びに明け暮れていたそうです。その結果大学は中退することになりました。

その後バイト生活に明け暮れバンドもやめて東京に来たこともあったそうです。しかし、強制わいせつ罪で逮捕されて刑務所に服役するようになっていまいました。結果的にこの前科によって警察は犯人特定に至ることが出来ました。

矢野富栄は学生時代はイケメンで勉強もスポーツも出来たそうですが、女性に人気はなかったそうです。その理由は真面目すぎる性格で大人しいことから堅苦しい印象だったそうで、女性からはあまり好かれていなかったそうです。

事件当時はソーラーパネルの営業の会社で働いていたそうです。営業成績も良かったそうですが、平岡都さんが行方不明になったあたりから社長に「客が取れないから担当地域を変えてほしい」と申し出ていたそうです。

死体を遺棄した後も通常通り勤務しており、遺体が発見されたニュースが出た11月6日の夜に会社に「実家に帰るので2日間休ませてほしい」と連絡をして、2日目に交通事故で死亡しました。事件後に転勤を希望したり、休暇をとったりとニュースになり始めていたので逮捕される前に自殺したのではないかと言われています。

矢野富栄が犯人として特定された決め手は島根女子大生死体遺棄事件が起きた5年前に通行人の女性にわいせつな行為をして、怪我を負わせる事件を犯したことで懲役3年6ヶ月の判決が下っています。

警察が前科犯から捜査を進めている時に矢野富栄の名前が浮上し結果的に証拠品も見つかり特定になりました。

被疑者死亡で不起訴処分となって事件は解決となりましたが、この事件には謎が多く残っています。その謎とはどんなものなのか？

まず、矢野富栄は死亡した理由です。警察では事故死として処理がされましたが、目撃者によるとガードレールに衝突する前から車から炎が出ていたようで、ブレーキ痕なども残っていなかったので自殺ではないかと言われているようです。

ここからは推測ですが、母親のこの事件の全てを打ち明けて、自殺することを決めて亡き父親の報告するために墓参りに行き、その帰りに母親と共に自殺をしたという可能性もありますし、母親から自首を勧められて、母を道連れに自殺したという可能性もあると言われています。どちらにせよ、なぜ矢野富栄が死亡したかの真相は不明のままです。

また、平岡都さんを狙った理由も不明です。二人は接点も全くありませんでしたので、偶然見かけた平岡都さんが狙われたと考えるのが妥当ですが、結局矢野富栄は死亡してしまったためその真相も不明です。

矢野富栄は急遽容疑者に浮上したのも不思議で、2016年以前にも矢野富栄は容疑者として浮上していたのではないかと言われています。捜査を再開したタイミングで性犯罪歴のある人物を対象として捜査を再開したと発表していますが、なぜそれを事件後にすぐしなかったかも疑問が残っています。

今回は謎多き島根女子大生死体遺棄事件について紹介しました。結果的に被疑者死亡ということで殺害の動機、被害者死亡の真相など多くの謎が残っています。被害者も犯人も死亡してしまっているので永遠にこの謎が明かされることはないでしょう。